9歳の壁、10歳の壁~5年の秋に失速しないために

9歳の壁、10歳の壁とは、ちょうど、9歳前後からはじまる、具象思考から抽象思考に移り変わる時期に、何らかの理由で、抽象的な思考力が伸び悩み、小学校高学年からの勉強につまづく現象のことを言うようです。

このことを、はじめに提唱されたのは、どんぐり倶楽部の糸山先生だったと記憶しています。

糸山先生がおっしゃるには、抽象思考とは言葉から絵や情景をイメージする力のことだそうです。

この抽象思考が伸び悩む原因の一つが、低学年のうちに単純な計算の反復練習を繰り返すことだったり、パターンを覚えて問題を解くことだと言われています。

中学受験での9歳の壁

中学受験で、よく言われることですが、5年の秋以降、成績が下降線をたどる場合があります。

長男コウは、5年から、H学園のweb授業で国語を受講していたのですが、その受講資格を得るために、毎月、公開テストを受けていました。

その時のことですが、5年の夏頃まで、常に成績優秀者の上位に名前が載っていた子が、秋以降、突然、成績が下がってしまったことがありました。

それは、端から見ていても、胸が締め付けられるような出来事でした。

それまで、おそらく色々なことを我慢して、大人に言われた通りに勉強してきて、特にサボっているわけでもないのに、成績が下がってしまうのは、子どもからすれば、あまりにも理不尽です。

そのようなことは、本来なら受験を志している小学生の誰にも起こってはならないことです。

もしかしたら、低学年からの勉強で疲れたのかもしれません。

でも、5年の秋といえば、算数の問題が難しくなって、パターンを覚える方法では対処出来ない問題が出てくる時期です。

これは推測ですが、5年の秋以降に成績が下がる子たちは、抽象的思考力があまり伸びなかったのではないでしょうか。

その原因は様々だと思いますが、考えられるのは、幼い頃、単純な計算練習ばかりしていた、実際に体験することが少なかった、パターンを暗記してそれに当てはめて解く癖がついてしまった、などでしょうか。

抽象思考を伸ばすには、具体的なものを与えて学習するしかないように思います。

特に算数で抽象思考があまり育っていない段階で、数の大きさも実感出来ていないまま、計算練習を繰り返すのは危険だと思います。

また、中学受験向けの算数に取り組む際にも、問題文に書かれていることが、あまりよくわからないまま(イメージできないまま)、パターン通りに数字を当てはめて解くことを繰り返せば、抽象思考が伸び悩むだけでなく、AならB、BならCと筋道を立てて考える力(論理的思考力)も伸び悩むと思います。

ややこしいですが、ここでは、

抽象思考~言葉から絵や情景をイメージす                            る力

論理的思考力~AだからB、BだからCと筋道                              を立てて考える力

の意味で使っています。

 

低学年での計算練習

長男コウの場合は、低学年の頃、単純な計算練習は学校の宿題程度でした。通信教育のドリルはサボっていましたし・・・

そこで、計算力をつけるために、パズル形式になっているものを使っていました。

宮本算数教室~賢くなるパズルです。

賢くなる算数~宮本算数教室

これなら、計算力と同時に考える力(論理的思考力)も鍛えられ、子どもも喜んで取り組むのでおすすめです。

あと、計算の基本や、算数の概念(単位や図形、割合など)は、水道方式で学びました。

計算にはこんなタイルを使います。

水道方式のタイル 透明

左から、1のタイル、10のタイル、100のタイルです。

幼い頃から、何度も水道方式の本を読み聞かせていました。

はじめてであうすうがくの絵本

さんすうだいすき

算数の探険

 

これらの教材については、また別の記事で詳しく紹介しますが、これらの本は、読むだけでなく、手も動かして学べるように書かれています。

中学受験むけの算数

中学受験むけの算数の勉強に取り組む時には、パターンの暗記に陥らないために、深く理解させる必要があります。

長男コウの場合、中学受験向けの算数に取り組む時に、紙に絵や図を描いて説明しただけではわかっていないことが多かったです。

基本的な問題は解けるけれど、少しひねってある応用問題は解けなかったのです。

これはあまり理解出来ないままに、パターンを暗記して、数字を当てはめて解いている場合に多く見られることで、黄色信号です。

解けているけど、怪しいな・・・と思った時には、長男コウに解けた問題の解説をしてもらっていました。

「よくわからないから、教えて。」

と頼めば、がんばって説明してくれました。

解けたはずの問題でも、解説の途中で本人もわからなくなることが多々ありました。

やっぱり・・・

そんな場合、わが家では、問題を具体化していました。

カレンダーの問題を解くときには、実際のカレンダーを用意し、植木算では、木にみたてた積み木を使い、中空方陣を解くときには、碁石を並べ、速さの問題を解くときには、長男とわたしで、部屋を歩いたり、走ったりしていました。

例えば、中空方陣に取り組んでいた時、数が少ない場合は何とか解けますが、数が大きくなると、お手上げでした。

そこで、碁石を実際に並べました。数が大きい問題は、並べるのが大変なので、もう解けている数が少ない中空方陣の問題を、実際に碁石を並べてもう一度解き直したのです。

すると、不思議なことに長男コウは

「ああ、そうか。」

と、なぜか数が大きい中空方陣の問題も解けるようになりました。わたしには、何が「ああ、そうか。」だったのかはわかりません。でも、数が多い中空方陣を実際に碁石で並べるには、石が足りなかったので、本当にホッとしました。

 

場合の数 数字カード

これは、場合の数で使った数字カードです。紙に描いて説明するより、実際にカードを並べ替えて考えた方が、ずっとわかりやすいようでした。

 

小学校5年生の秋頃まで、速さの問題を解くときには、部屋の中を歩いたり走ったりしていたのですが、5年の冬以降は、本人が考える時も、親が説明する時もすべて紙の上で済ませることが出来るようになりました。

おそらく、この時期に、抽象思考に完全に移行したように思います。長男コウは早生れだったので、11歳頃のことです。

9歳の壁、10歳の壁と言われますが、長男の場合、9歳頃は抽象思考に移りはじめただけで、まだまだでした。一見しただけでは、わかっているようにも思えるので、注意深く見守る必要のある時期だと思います。

 

それから、問題をはやく解くように急かすこともよくない様です。

コウは、もともと塾考タイプだったこともあり、じっくり考えていました。わたしたち親はそれを邪魔しないように、急かさないように心掛けました。

あまり長時間、考え込んでいるので、何度か

「もう、ヒント見たら?」

などと、急かしてしまいましたが。

 

計算練習は、コウが非常に嫌がったので、4、5年の時にもほとんどしませんでした。Z会中学受験コースのドリルも計算練習は飛ばしていました。

本人も計算練習の必要を感じ、本格的に取り組みはじめたのは、通塾をはじめてしばらくたった頃でした。なので、11歳を過ぎた頃です。

5年の3月から6年の夏頃まで、計算練習を一日、一時間ぐらい毎日していました。

計算力がついてきた夏以降は計算力を維持するために一日30分だけ、計算練習をしていました。

5年の3月頃から計算練習に取り組みはじめると、その3ヶ月後(6年の7月頃)のテストで算数の成績がすさまじく上がりました。それまで計算ミスでポロポロ落としていた分が、なくなったためです。応用問題にはもともと強かったので。

計算は後からでも出来るようになります。まずは、抽象思考、論理的思考力を伸ばすことを考えた方が良いように思います。

 

中学受験を考えて学習を進める場合、思考力の成長を妨げることになりがちだと思います。過度の計算練習や、理解が浅いままに大量の問題を解き続けるなど。

解く問題は厳選して数を減らす、解説には具体的な物を使う、机の上の学習だけでなく、スポーツや昆虫採集など、体を使う体験を数多く経験させることが、この時期の思考力の発達には必要だと思います。